📮KURUME LETTER
社会福祉学科 卒業生の活躍(Vol.9) 「保育教諭・保育ソーシャルワーカー」
久留米大学文学部社会福祉学科の学生は毎年約6割の学生が社会福祉に携わる仕事に就いています。そのため、卒業生の多くが、社会福祉施設、医療機関、行政、教育、民間企業等の第一線で活躍しており、卒業生同士のネットワークも強固なものとなってきています。ここでは久留米大学文学部社会福祉学科で社会福祉を学び、福祉、医療、行政、民間企業等で活躍している卒業生を紹介していきます。
蒲池光雲さん(平成27年卒業)
研究と現場の二足のわらじで!!
在学中は、親しい友人やゼミ生と一緒に保育や教育、社会福祉について真剣に学ぶ。周囲のサポート等で、在学中に社会福祉士、保育士、幼稚園教諭1種を取得した。
久留米大学大学院比較文化研究科博士前期課程を修了後、同大学院博士後期課程に進学。現在は長崎県の認定子ども園で、保育教諭兼保育ソーシャルワーカーとして勤務している。
インタビュー
Q.大学で社会福祉を学ぼうと思ったきっかけは何ですか?
親が保育所と障害者支援施設を経営しており、幼い頃から父や母の背中を見て育ちました。そのため、常に社会福祉が身近にあり、歳を重ねるにつれ、社会福祉への興味関心が大きくなりました。社会福祉を専門的に学びたいという思いから久留米大学文学部社会福祉学科に学ぶことを決意しました。
Q.実際に社会福祉学科に入学してみていかがでしたか?
実際に社会福祉学科に入学してみると、様々な理論の方法や視座、社会福祉の制度や資源等を学ぶことができました。また、同じ志を持つ学友、社会福祉に対する思いや素朴な疑問を受容し、気づきを与えてくれた先生にも出会うことができました。そして、国家試験の時には、学生同士で教え合い、ゼミの先生だけでなく、他の先生も質問には丁寧に答えてくださるなど、社会福祉士という国家資格に挑戦するための環境はとても恵まれたものでした。さらに卒後教育も行われているため、卒業したら終わりということではなく、卒業後も社会福祉学科との繋がりを継続することができ、指導を受けることができます。
Q.将来の仕事に保育士を選んだのはどうしてですか?
園児の頃、よく園長(父)の居る園長室へ遊びに行きました。父の仕事を見ていて、「パソコンをして、外を眺めて、子どもの姿に微笑んでいる姿」に憧れを持ち、いつしか、保育士、幼稚園教諭、社会福祉士の資格を取得することが目標になり、大学に進学しました。保育教諭になった今では、私が園児の頃の先生と保育現場の問題とこれからの課題を議論しています。日々反省と楽しみの連続で、小さい時から憧れていた職業につくことができて本当に良かったなと思っています。
Q.現在、認定子ども園で保育教諭兼保育ソーシャルワーカーとして働いておられますね。実際の仕事内容を教えていただけますか?
まず、保育教諭としては、日々子どもを過ごしながら、乳幼児期の養護と教育に視座を置き、保育を行っています。子どもの主体性を尊重しつつ、発達を考慮して関わっています。保育を行うなかで、数多くのドラマがあり、毎日に驚きと喜びがあります。次に保育ソーシャルワーカーとしては、保護者への相談援助を行っています。内容としては、子どもの発達や怪我、不安等の相談を受け、他機関と連携しながら保護者や子どもを多面的にとらえ、課題を解決していけるように援助しています。保育ソーシャルワーカーについては、保育現場にはまだ身近なモデルがなく、まだまだ未開発な部分がありますので、模索しているのが現状です。
Q.近年、保育ソーシャルワークという言葉が注目を集めています。実際、保育ソーシャルワーカーとして働いておられますが、保育ソーシャルワークについてもう少し詳しく教えていただけますか?
保育所に存在するソーシャルワーカーです。制度として必ず配置しなければならないという職種ではまだありませんが、その一方で保育所におけるソーシャルワーク機能の需要は高まっています。専門職としての機能として、子どもの生活全体を視野に入れたケアの提供、保護者支援等の家庭環境の調整、関係機関・専門職との連携、ネットワーク形成、地域の家庭へのアウトリーチ、要支援家族のサポート体制の形成、虐待の防止及び早期発見等が求められます。これらは、保育だけではなく、社会福祉を専門的な学ぶことで習得できる専門職としての機能です。
Q.保育士を目指す学生が社会福祉学科で「社会福祉」を専門的に学ぶメリットは何でしょうか?
保育士を目指す者として、社会福祉を専門的に学べることは非常に大きなメリットがあると思います。対人援助職としての原理や理論等について学ぶことで、物事を直線的にとらえずに、多面的にとらえることができるようになると思います。また、保育分野以外の知識を得ることができるため、社会福祉制度や社会福祉施設の知識を習得して、現場の問題を解決するための考えの幅が広がるように思います。
Q.蒲池さんは仕事をしながら、現在、久留米大学大学院比較文化研究科後期博士課程に在籍し、博士号を取得するために日々努力されておられますね。現在、取り組んでおられる研究テーマを教えていただけますか?
研究テーマについては、レビューを重ねながら、焦点化している途中ですが、保育人員数の確保及び保育の質の向上等につながる教育システムに関した研究が出来ればと思っています。
Q.これからの目標を教えてください。
今後は勤務している子ども園においてソーシャルワークをより定着させ、機能できる環境を整えていくことです。保護者や連携先との信頼関係の構築、保護者や地域の子育てに関するニーズ把握、地域の資源の把握及び構築等をこれから行っていきたいです。
Q.後輩たちにメッセージをお願いします。
大学は「大いに学ぶところ」です。そのため主体的に学びを深めていかなければなりません。しかし、机上の勉強だけでは、得られないこともあると思います。学友と遊んだり、自分の好きなことに没頭したり、海外に行ってみたり、いろいろな経験をすることでメリハリもつき、ポジティブになれ、その分たくさんの方々と縁を結ぶことができます。そして、自分が経験したことは必ずどこかでつながり、糧になると思います。大いに学び、学友と切磋琢磨しながら、いろんな経験をしてください。