📮KURUME LETTER

北里美弥さん、ビジネスコンテストのグランドチャンピオン大会へ!【社会福祉学科】
文学部社会福祉学科2年の北里美弥さんが、全国の高校生・大学生を対象としたソーシャル・ビジネスの学習と実践を両立する「YYコンテスト」に出場し、グランドチャンピオン大会(決勝戦)に進出し、企業特別賞「ラストワンマイル賞」を受賞しました。
北里さんが提案したのは、「TEN to.(テント)」という、難病や持病を抱える方、引きこもりの方が社会とつながるための新しい働き方を提案するビジネスプラン。グランドチャンピオンは逃しましたが、その独自性が評価されました。
「TEN to.」とは?
「社会に出る0.5歩目を作りたい」
そう語る北里さんのプランは、単なる在宅ワークの提供ではなく、「大学生5人・難病や持病のある方5人・企業5社」でチームを作り、それぞれの強みを生かしながら仕事を回していくというもの。
「病気があると『在宅で働けばいい』と思われがちですが、そうではなくて、社会に出て働きたい人もいます。でも、その選択肢が少ないんです。大学生もチームに加わることで、孤立せず、社会とのつながりを感じられる環境を作れたらと考えました」(北里さん)
実際にビジネスプランを考える過程で、久留米大学の学生を含む119人にアンケートを実施。その結果、「体調への不安があり、働くことに対して抵抗を感じている」学生も少なくないことが分かりました。そこで、「TEN to.」には大学生も組み込み、フルタイムでなくても働ける仕組みを取り入れています。
コンテストへの挑戦と学び
北里さんがこのコンテストを知ったのは、「アントレプレナーシップ」(中村寛樹教授)の講義でした。
「ソーシャルビジネスとは、社会問題の解決を目的としたビジネスです。私は中学の時に難病を患い、そこから引きこもりを経験しました。『難病や引きこもりの人が社会に出るための仕組みを作りたい』と着想し、それを実現する方法を考えました」(北里さん)
このコンテストは、ソーシャル・ビジネスの学習と実践を掲げており、プログラムにエントリーし審査に通ると、各参加者(グループも含む)に合ったメンターが付き、最終審査に向けて数か月を併走する仕組みになっています。北里さんの場合は、週に1回メンターとオンラインでミーティングを実施し、ビジネスプランのブラッシュアップだけでなく、将来のキャリアについての相談にも乗ってもらったそうです。
「TEN to.」の課題と今後の展望
「やればやるほど、難しさを実感しました。特に、難病や持病を持つ方とつながること自体が難しいと気づきました。アンケートを取るのも一苦労で、SNSの傾向を分析することでニーズを探るしかありませんでした」(北里さん)
また、企業側の受け入れ態勢や、継続的なサポートの必要性など、実現に向けての課題も明確になったといいます。
しかし、「TEN to.」の考え方は、今後の社会に必要な視点であり、企業にも大きなメリットをもたらす可能性があります。
「今回の挑戦を通して、まずは難病の方、引きこもりの方が繋がれるようなコミュニティを作る必要性を感じたり、マイノリティへの福祉が十分でない社会についても実感しました。企業の利益だけでなく、社会全体の利益を生むことが大事という意識が広がっています。今回の着想は、自分自身の課題でもあるので、コンテストの経験を活かして今後も取り組んでいきたいです」(北里さん)
「挑戦したい」けど踏み出せない人へ
北里さんに自身のターニングポイントを尋ねると、「久留米大学社会福祉学科に入学したこと」と答えました。友達に恵まれ、また中村先生との出会いや大学の学生支援の充実など、大学の環境をとても気に入っているそうです。
「起業家精神(アントレプレナーシップ)は、福祉分野こそ必要です。学生は、社会福祉士などの資格を取った先の社会についても興味を持って、より良い社会のあり方、働き方を考え、新規性のある事業を自分たちで起こしていく必要があると思っています」
コンテストは終わりましたが、北里さんは、東京大学や東北大学の学生と難病の若者のためのコミュニティ立ち上げに関わったり、保健所と小児の難病患者のオンラインイベントの開催を手伝ったり、別のビジネスコンテストへの参加など、さまざまな活動を続けています。
「最初の一歩は、とりあえず動いてみること。気になる先生に話しかける、イベントに参加する、SNSで発信してみる…それだけで世界が広がります」
社会福祉学科で学びながら、福祉とビジネスの新たな可能性を広げる北里さん。
その挑戦はこれからも続き、どのように形になっていくのか、ますます楽しみです。