📮KURUME LETTER

久留米市「女性と健康講座」—看護学科が講演と授業体験(ピア・エデュケーション)を実施
3月1日、久留米市男女平等推進センター主催による「女性と健康講座『共に学ぼう 語ろう 性のこと With 看護大学生』」がえーるピア久留米で開催され、看護学科の教員と学生が講師を務めました。
国では、毎年3月1日から1週間を「女性の健康週間」と定め、全国各地で女性の健康づくりを国民運動として展開しています。久留米市でも、生涯を通じた男女の健康支援事業が行われており、今回はその取り組みの一つとして実施されました。
第一部 講演
第一部では、「子どもと語ろう 性について ~特別視しないで性教育~」という演題で、看護学科の加藤陽子准教授による講演が行われ、保護者や学校関係者など多くの参加がありました。加藤准教授は「性について学ぶことは、特別なことではなく、命や人間関係を学ぶ大切な機会。自分の心と体を大切にすること、相手の気持ちを大切にすること、みんなの違いを理解し健全な人間関係を築く力を育む機会であり、単なる知識の提供ではなく、価値観の形成に関わる重要なこと」と話し、性教育がなぜ必要なのか、性教育を特別視しないためのポイント、子どもとの会話の例や大切なこと、NO,GO,TELL(※)を子どもに伝えることの意義などについて、分かりやすく説明しました。
※ NO,GO,TELLとはアメリカ発祥の「CAP(Child Assault Prevention)プログラム」の1つ。子どもたちがさまざまな暴力から自分の心とからだを守る暴力防止のための予防教育プログラムで、「No(イヤという)」「Go(その場を離れる)」「Tell(誰かに話す)」により、自分を守るための行動を選ぶことができる。


参加者からは「子どもが隠れて動画を見ていることがあり、性に興味を持ち始めている。今日の講演で、声かけのポイントやコミュニケーションの取り方について話を聞くことができたので参加してよかった」「シンプルに伝えること、日常会話の中で自然に話していいこと、完璧に答える必要はなく、分からないことは一緒に調べようと言っていいことなどが分かり大変勉強になった」との声が聞かれました。


第二部 授業体験(ピア・エデュケーション)
第二部では、「『好き』って気持ちって何だろう ~看護大学生と考えよう~」というテーマで、看護学科のサークル「レピーフ(Lepeef)」による授業体験(ピア・エデュケーション)が行われ、小学生8名が参加しました。
「レピーフ(Lepeef)」は、「Let's begin Peer Education concerning sexuality From now on(さあ、今から一緒に性について考えよう)」の頭文字をとって名付けられ、大学生がピア(仲間)として、思春期を迎える小学生から中学生を対象に、「性についての正しい知識」や「命の大切さ」について一緒に学び、考える「ピア・エデュケーション活動」を行っています。
授業では、大学生が登場人物になりきるロールプレイを取り入れ、「好きという気持ち」や「SNSでのやり取りの誤解」をテーマにした2つの場面を再現しました。最初の場面では、友人同士の会話を通じて「好きとはどんな気持ちか」「異性・同性に対する憧れや尊敬も好きの一つなのか」などについて、一緒に考えました。続くSNSの場面では、何気ないメッセージが誤解を生み、人間関係に影響を与えることがあることを一緒に学びました。




レピーフのメンバーからは、「ピアプレッシャー(仲間からの圧力)」についても紹介し、「好きという気持ちは他人に決められるものではなく、自分だけの大切な感情。周囲の意見に流されるのではなく、自分の気持ちを大切に」と伝えました。また、顔の見えないやり取りでは「相手の受け取り方を考えて言葉を選ぶことが大切」というメッセージも伝えました。
参加した小学生は「女の人も女の人を好きになっていい。好きになるのは人それぞれでいい」「文面だけでは伝わらないことがある。方言で意味が変わることもあると知った」「周りに惑わされず自分の気持ちを大切にしたい」「一緒にゲームをしたのが楽しかった」と話してくれました。


今回リーダーを務めた看護学科2年の西山由夏さんは「シナリオやパワーポイントなどを修正していくのが大変だった。人前で話したり、みんなの中心になって話したりするのが苦手だったが、回を重ねるたびに慣れていって自分の成長を感じることができた」と話し、サブリーダーを務めた看護学科2年の千葉結友さんは「小学生からたくさんの意見が出て、その中で気付かされたこともあり勉強になった。これまでは自分の役のことだけを考えてやっていたが、今回は時間配分など全体を見ながら進行したので難しかった」と振り返りました。
今後もレピーフは、学校や地域と連携しながら、若者が主体的に学べるピア・エデュケーション活動を続けてまいります。ご要望などございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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レピーフ活動に関するお問い合わせ
久留米大学医学部看護学科
TEL:0942ー31−7714(担当教員:田中佳代、加藤陽子)
E-mail:m2a2k2i2@med.kurume-u.ac.jp