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【ゼミ紹介】田中優子准教授:本の世界を探る(文学部国際文化学科)
📝学び

【ゼミ紹介】田中優子准教授:本の世界を探る(文学部国際文化学科)

田中ゼミについて

文学部国際文化学科では、1年次の「教養演習」、2年次の「国際文化基礎演習」において、大学での学び方や学術論文の書き方についての基本を学んだあと、3年次から各教員のゼミ(3年次は「演習I/II」、4年次は「演習III/IV」)に所属して各自の研究テーマについて探求していきます 。
(文学部国際文化学科のカリキュラムhttps://best.kurume-u.ac.jp/faculty/literature/distu/#sec-curri

イギリス児童文学を研究している田中優子准教授が担当するゼミ(通称田中ゼミ)では、学術論文の書き方や口頭発表の方法を実践的に学びながら、各自の研究テーマについて文献を読み、その内容と気づいた点をまとめて作成する「読書ノート」を積み重ねることで、卒業論文の議論を深めていきます。
また、それと同時に分野を限定せずに「本」にまつわる活動も、学内外で行っています。

 今回は、3年生の田中ゼミにおける「本」にまつわる活動を紹介します!

「読書会」-ひとつの作品を皆で読む

3年生前期の「演習I」では、「読書会」を行っています。「読書会」では、専門的にイギリス文学作品を精読する前の予行として、学生がより身近に感じやすい日本の現代小説を深く読み込むことを通して、文学作品の考察や分析の基礎を、楽しみながら学びます。今年度は山内マリコの『あのこは貴族』(2016)を読みました。

「読書会」の進行方法

授業の進行は以下のように行われます。まず、小説の各章に担当者が割り振られます。担当者はその章で気になった箇所を抜き出します。そして、その箇所について、気になった理由等を個人の経験と関連させながら発表します。ゼミの仲間とこのプロセスを共有することを通じて、学生たちは作品に対する理解を深め、自分自身の視点と他者の視点の類似や違いに気づく面白さを体得しています。

今年度はさらに作品を読み終えた後、気になる登場人物を一人選び、その人物のその後の物語を創作しました。作品中ではあまりよく描かれていなかった人物が少し良い人になっていたり、主要人物が意外な転職を遂げていたり、あるいは作品では別れた二人がもう一度付き合いだすかのような未来にしていたりと、ゼミ生それぞれの想像力を働かせて出来上がった物語を共有し、大いに盛り上がりました。

田中優子准教授
田中優子准教授
読書会の様子
読書会の様子
小説作品の読み込み方について皆で学びます
小説作品の読み込み方について皆で学びます
小グループに分かれて意見を述べ合う様子
小グループに分かれて意見を述べ合う様子

「読書会」について学生たちの感想

読書会を体験した学生たちの感想の中には、以下のようなものがありました:

「初めて一つの本に対してさまざま人の意見を聞きながら内容について吟味するということをしたので、とても面白かった」

「自分が気になった点を発表した際にも、周りの人達も共感してくれただけでなく、考えを付け加えたりしてくれて、自分だけでは考えつかなかったところもあったので、その点に深掘りすることができたし、ディスカッションはとても楽しくて面白かった」

「他者のさまざまな意見を聞いていく中で自分の意見が変わったり、自分の意見は変わらないけど納得させられることもあった」

「大型書店」と「まちの本屋さん」の違い

前期に行うもうひとつの「本」にまつわる活動として、田中ゼミでは久留米市に2023年にオープンした独立系書店「minou books久留米店」への訪問を計画しました。

訪問に先立ち、ゼミで大型書店と個人(まちの)書店の違いは何か、を話し合いました。「minou books」は、選書(ラインナップ)に独自性がある書店であり、学生たちは実際に訪れてみることで、大型書店とは異なる体験をしました。訪問後、学生たちは各自の感想を述べ、独立系書店ならではの魅力や、大型書店との違いについて深く考える機会を得ました。

MINOU BOOKS 耳納連山の麓、うきは市吉井町にある、本屋とカフェ、地域の品々を取り扱うお店です。衣食住といった生活周りの本からアートブックまで、「暮らしの本屋」をテーマに、いつもの日常に彩りを加えるような本をセレクトしています。 https://minoubooks.com/
minou books
minou books
minou books
minou books

学生たちの感想

訪問後の学生たちの感想の中には、以下のようなものがありました:

「店内が大型書店ほど広くないためか本の圧迫感がなく、本を買うのを目的としていなくても立ち寄れる雰囲気が素敵だと思った。本だけではなくお菓子や雑貨も私好みだったため、もう少し駅に近ければ行きやすいのにと思ったが、人通りが多すぎないところにあるのも『まちの本屋さん』ならではの良さのように感じた」

「動物、自然、お菓子など、さまざまなな分野の本や雑誌がおいてあり、見ていて飽きなかったので、時間が経つのがとても早く感じた」

 「明るくこじんまりした空間に居心地の良さを感じ、どんな本に巡り合えるのかワクワクした」

 「軽い気持ちで入店して、その時の時自分の気持ちにあった本を見つけることができそうな本屋さんで、今度ゆっくり立ち寄って本を買って、お茶をしながら読書時間を作りたいと思った」

終わりに

田中ゼミの「読書会」や「minou books久留米店」訪問を通じて、学生たちは文学作品の楽しさや考察の方法、さらに本との新たな出会いや、書店の持つ役割についても深く考える貴重な機会を得ています。机上の学びもしっかり行い、地域における学びも経験しながら、学生たちは自身の視野を広げ、新たな発見をし続けています。