📮KURUME LETTER

西日本新聞社との連携授業「まわしよみ新聞」
📝学び

西日本新聞社との連携授業「まわしよみ新聞」

文学部情報社会学科の2年生必修科目「コミュニケーション演習」(江藤智佐子教授担当)で、本学が連携協定を締結している西日本新聞社と連携した「まわしよみ新聞」の授業が今年度も行われました。

「コミュニケーション演習」は、情報社会学科のディプロマ・ポリシーに基づき「情報を収集し、解析し、発信する」学問サイクルを通して対人コミュニケーション能力を身に付けることを目的としたものです。集めた情報を相手に分かりやすく説明するために加工したり、効果的に表現したりするためのコミュニケーションスキルの基本を中心に学んでいきます。


新聞作成とプレゼンテーション

西日本新聞社の野口智弘氏
西日本新聞社の野口智弘氏
西日本新聞社の安武秀明氏
西日本新聞社の安武秀明氏

「まわしよみ新聞」の授業は全3回で構成されており、第1回、2回は西日本新聞社の野口智弘氏と安武秀明氏を講師に招いて行われました。

第1回では新聞の読み方などについて講義いただいた後、気になった記事を選び、グループに分かれて意見交換を行いました。選んだ記事について「どういう内容か」「なぜこの記事を選んだのか」などをメンバーに説明し、自分の意見を分かりやすく伝えること、また他者の意見を聞いて相手を理解することなどを実践しました。この後、各自が選んだ記事をまとめてグループごとに1枚の新聞にまとめます。新聞はグループ内の共有ファイルを活用しデータで作成しています。それを2回目の授業で、各チームが発表し、それに対して学生たちと講師の投票がなされ、3回目の授業は結果発表及び表彰式となります。


新聞を読みながら気になる記事を探します
新聞を読みながら気になる記事を探します
グループディスカッションの様子
グループディスカッションの様子
グループは5~6名ずつの8班に分かれて行います
グループは5~6名ずつの8班に分かれて行います
プロのアドバイスを聞くことができます
プロのアドバイスを聞くことができます
第2回の授業では、グループでまとめた新聞を発表します
第2回の授業では、グループでまとめた新聞を発表します
グループで話した内容や、まとめ方で工夫した点などを説明しています
グループで話した内容や、まとめ方で工夫した点などを説明しています

グループの代表者が発表した後、野口氏、安武氏がすべてのプレゼンに対して「デザインに工夫があった」「レイアウトがよくまとまっていて見やすかった」「コンセプトを持って作られている点がよかった」「身近な話題を取り上げているのが良かった」など学生たちを励ますコメントや、「言葉を重複して使っているのは読みにくい。省略、代語などの工夫をするともっとよくなる」「見出しを大きくしたり、メリハリをつけると伝わりやすくなる」「写真やイラストを変倍するのはタブー」「誤字脱字の確認は念入りに」など、プロならではの視点でのコメントをいただきました。

また、今年度の授業は、久留米信愛中学校・高等学校の進路指導部から岩瀬先生が見学に来られ、「まわしよみ新聞の取組みは、仲間と普段とは違う話題について考えや感じ方を共有するとても貴重な機会になります。今回授業を見学させていただいて、とても短い時間でグループでまとめ、それをプレゼンまでする姿に、さすが大学生と感心しました」と感想を述べられました。

学生からは、「同じ新聞を読んでも、人によって興味を持つことが違い、ひとつの記事に関する感想もさまざまであることがわかって面白かった」「情報を要約したり、伝わるようにレイアウトを工夫したり、編集の難しさを実感すると同時に、プロの仕事の凄さがわかり、より新聞に興味が持てるようになった」「新聞をまとめることも、それを発表することも、読み手聞き手の気持ちになって、どうしたら興味を持ってもらえるのか、もっと考えて工夫をしていきたいと感じた」という感想が聞かれました。


結果発表

「西日本新聞社賞」と「作品賞」に選ばれた4班「あわあわ新聞」
「西日本新聞社賞」と「作品賞」に選ばれた4班「あわあわ新聞」

廃校となった施設を水族館として利用する記事、猛暑による沖縄サンゴの白化などの記事をピックアップした4班の「あわあわ新聞」が西日本新聞社賞と投票による「作品賞」に選ばれました。選定理由として、綺麗なレイアウトと斬新な発想が評価されました。

4班はゼミで調査していることに近い内容が載っていたこともあり、それぞれの意見や感想がよくまとまっていました。また下段には「ちょこっとニュース」として、あえて小さな記事を配置し、全体の話題に強弱をつける工夫や、トップ記事から下段に行くほど淡色にするなどデザインの工夫がされていることも発表されました。「早い段階で新聞のコンセプトを決めることができ、メンバーで記事選びの段階から協力、連携ができ、プレゼンだけでなく編集や内容にもこだわることができた。コンセプトに沿った新聞を作ったことで西日本新聞社賞を獲得することができてよかった。」と感想を述べました。

プレゼン賞は8班が選ばれました。



西日本新聞社の安武秀明氏と野口智弘氏による総評

安武秀明氏

今回は、取材ではなく編集を擬似的に体験してもらいましたが、皆さん実は普段から頭の中で編集しているんです。大学のレポートなども編集する力が必要ですし、今後、社会に出ていっても編集力はいろいろな場面で活かせます。編集は「集めて編む」と書きます。さまざまな情報を集めるメディアの一つとしてこれからも新聞をぜひ有効に使ってほしいと思います。

野口智弘氏

新聞にはセレンディピティ(思いがけない偶然がもたらす幸運)があります。今回新聞を選んでみて、自分ではこれまで気づかなかったような記事に出会えたのではないでしょうか。新聞というのは日々情報がアップデートされていますので、毎日読むことで積み上がるものは必ずあります。社会に出ても役立ちますので、ぜひ新聞をコツコツ読んでいってもらいたいと思います。



後列左より、(西日本新聞)白土靖氏、野口智弘氏、安武秀明氏、(久留米信愛中学校・高等学校)岩瀬由紀枝氏
後列左より、(西日本新聞)白土靖氏、野口智弘氏、安武秀明氏、(久留米信愛中学校・高等学校)岩瀬由紀枝氏


「コミュニケーション演習」の授業では、「まわしよみ新聞」(西日本新聞社との連携)、「ゼミ対抗プレゼン大会」(ゼミ活動を動画PR)、「合同発表会」(調査実習の成果を発表)など、段階的にグループワークとプレゼンテーション力を高めていくようプログラムが組まれています。