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中国の介護現場を知る―小原ゼミオンラインインタビュー【経済学部】
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中国の介護現場を知る―小原ゼミオンラインインタビュー【経済学部】

11月28日、経済学部経済学科の小原ゼミ(3・4年生)は、介護大手メディカル・ケア・サービス(MCS)中国事業部 主任・川口元洋氏(南京駐在)へのオンラインインタビューを実施しました。MCSは認知症ケアを中心に全国で事業を展開し、2014年より中国に進出、現在は成都市をはじめ12〜15の拠点で高齢者ケア施設を運営しています。

今回のインタビューでは、中国の高齢者介護の現状、日本式サービスを導入する際の課題、そして海外で介護事業を進める際に必要な姿勢など、多岐にわたるお話を伺いました。

川口氏によると、中国では若年性認知症の利用者や生活習慣病を抱える人も一定数おり、日本と共通する部分が見られる一方で、介護人材の育成体制が十分とは言えず、現場の状況は日本の20〜30年前に似ているとのことでした。MCSの強みはコミュニケーション主体のケアや衛生面の徹底です。中国の家族が求める安心・安全な介護に合致しており、日本式の丁寧なサービスは高く評価されているそうです。

日本と中国では、介護に対する考え方や仕事への姿勢に大きな違いがあります。例えば、MSCには「普通の生活を当たり前に」というケア理念がありその中国への浸透を目指していますが、中国では効率重視の風潮から身体拘束が行われるケースもあり、現場での教育には時間と粘り強さが不可欠とのことでした。また、異文化の中で職員を教育することの難しさ、言語の壁、離職率の高さなど、運営上の課題についても具体例をあげて教えていただきました。

川口氏は、「笑顔は万国共通。信頼関係は必ず築ける」と語り、日々のコミュニケーションを積み重ねながら現場の改善に取り組まれているというお話に、学生たちは強く感銘を受けたようでした。

オンラインインタビューの様子
オンラインインタビューの様子

インタビュー後のゼミ報告会では、学生たちは、

  • 文化や価値観が大きく異なるなか、現場で根気強く教育を続ける重要性や意義
  • 非言語コミュニケーション力や笑顔が、国境を越えて信頼関係を築くうえで不可欠であること
  • 高齢化が急速に進む中国において、質の高い介護サービスへの需要が高まっていること
  • IT大国の中国でも介護現場ではスタッフの教育に課題があり、日本企業の役割は大きいこと

など、多くの学びを共有しました。

今回の取り組みは、学生にとって海外での事業展開や介護問題を具体的に理解する貴重な機会となりました。