📮KURUME LETTER

【教員コラム】小栗正裕(人間健康部 総合子ども学科)
🧑‍🏫教職員

【教員コラム】小栗正裕(人間健康部 総合子ども学科)

総合子ども学科の小栗正裕です。

私は「保育原理」をはじめとして、保育士・幼稚園教諭にかかわる授業を担当しています。保育士・幼稚園・こども園における乳幼児の生活の中心は「遊び」であり、そのため、保育士・幼稚園教諭は「遊び」の専門職と形容されることもあります。遊びの専門職としての専門性を高めていくのが大学における学びの中心になっていきますが、そのための筋道はいくつもあるでしょう。ここでは、そのひとつとして、「おもちゃ」を取りあげてみたいと思います。

ある、おもちゃの専門小売店(あえて名前は申しません)に行きますと、広々とした店には赤・青・黄色・緑・オレンジ色など、目がチカチカするほどカラフルなおもちゃが並んでいます。中には機械が仕込まれていて本物顔負けの動きをするものや、スマートフォンと連動するものなど、おもちゃもなかなか本格的で、あなどれません。

しかし、ここであえて私が紹介したいのは、「木のおもちゃ」です。例のおもちゃの専門小売店にも、このようなおもちゃが売られているコーナーがあります。このお店の他のコーナーで目がチカチカしてしまう私なども、このコーナーではとても落ち着きます。というのも、木のおもちゃは自然の素材でつくられており、その色も、木の色そのものが活かされるように、あえて着色をしないものや、されていても最小限のものが多いのです。プラスチックのおもちゃには、プラスチックそのものの色はありませんので、着色するしかないのですが、木のおもちゃにはその必要が無く、とてもやさしい風合いになるのです。また、木のおもちゃは、どれも総じてシンプルなものばかりです。中に機械を仕込むことも無いので動きは非常に単純で、プラスチックのように機械で成形することも出来ませんので、形もシンプルです。

実はおもちゃの場合、そのものの動きが複雑になればなるほど、その動きに合わせた遊び方にならざるを得なくなりますので、遊び方の幅は狭まってしまいます。逆に、機械仕掛けのおもちゃで想定されていない遊び方をすると危険ですので、そうしたことは外箱や説明書で禁止されていることが多いのではないかと思います。一方、おもちゃそのものの動きがシンプルであれば、そこから先の動きは子ども自身が操作することになりますので、多くの遊び方が子ども自身により生み出されることになり、子どもの工夫の余地が広がっていきます。これが、子どもの「思考力」や「創造性」を生むことにつながっていくのです。

久留米大学の保育演習室には、たくさんの「木のおもちゃ」が用意されています。オープンキャンパスでは、これらのおもちゃの展示も行いますので、ぜひ足を運んで頂いて、木のおもちゃに触れてみませんか?